パラレルワールド

 

「泣いたり怒ったり

   笑ったり大切に想ったり

 大切にしてもらったり

 

 今の私は
 あの想い出と
 あの想い出と
 あの想い出で出来ている 

 

 そう思ったら
 自分がひどく
 愛しい存在に思えてくる」

 

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中学くらいの時どハマりした

漫画「砂時計」の忘れられない台詞。

 

その時は未だあまり実感を持って理解できなかったけど

今読み返すと一層暖かく感じて

同時に、ヒリリと痛い。

 

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パラレルワールド」って、あると思います?

 

“もしもこうじゃなかったら”の世界。

 

わたしは、何だかある気がするのです。

 

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「お姉ちゃんの部活のミュージカル、一緒に行く?」

もしもあの子がそう言ってくれていなかったら

私は高校で吹奏楽を続けていたと思う。

そしたら多分吹奏楽が強い共学に行ってたかな。

インドアで文化的な事が好きな、もっと女の子っぽくて、大人しいひとになっていたと思う。

 

 

 

 

 

 

ああ、もしも

 

 

 

 

 

あの視線に気付いていなかったら。

 

あの手を振り解いていたら。

 

あの背中にしがみついていたら。

 

 

 

もしも

 

 

もしも……

 

 

 

 

そんな選ばなかった“もしもの自分”が

毎日自分から枝分かれして

パラレルワールドで生きている気がするのです。

 

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何かを選び取ることは

バランスを崩すこと

 

静かな水面に一雫の水を落とすこと

 

真っ白なノートにペンを入れること

 

 

 

例え“もしもの私”が別の世界を生きていようと

この水紋の真ん中で今の彩りを手にしているのは

 

紛れもなく、この私だけ。

 

 

 

 

 

いつかパラレルワールドの私に会ったら

 

 

ちょっと背伸びして言うのです。

 

 

 

 

「こっちのわたしも、なかなか良いわよ」